「最近『行動経済学』って言葉をよく聞くけど、どんなものなの?」
「行動経済学について広く知りたい!」
「『行動経済学』についてのいろんな書籍があるけどどれがいいの?」
「『ファスト&スロー』って聞いた事あるけどどんな本なの?」
そんなあなたに今回紹介する本、『ファスト&スロー』は最適です。本書は行動経済学の祖とも言われているダニエル・カーネマン氏が、「行動経済学の核心」を解説した、行動経済学書籍の決定版と言えます。
この本を読むことで、行動経済学がどんな内容なのかが分かり、自分がしてしまう認知の錯覚について深く理解することができます。さらにその錯覚を避けるために、何を意識すればいいかも記事の後半で解説しています。
そこで今回は『ファスト&スロー』を紹介します!

本書は上下巻合わせて700ページ超えですが、非常に学びの多かったおすすめの一冊です。もし記事を読んで興味が湧いた方は実際に読んでみてください!
『この本のすごさとは?著者ダニエル・カーネマンと『ファスト&スロー』の紹介
著者のダニエル・カーネマン氏はイスラエル・アメリカ合衆国の心理学者、行動経済学者です。経済学と認知科学を統合した、行動経済学の創始者として知られています。2002 年にはノーベル経済学賞を受賞しています。

そしてそんなカーネマン氏が書いた、行動経済学の決定版とも言える本が、今回紹介する「ファスト&スロー」です。本書は刊行直後から絶賛され、ミリオンセラーとなりました。ハヤカワ文庫版の帯には「東大でいちばん読まれた本(2014年)」という見出しが書いてあり、その注目度の高さが伺えます。
行動経済学の核心!あなたの頭の中の二人の登場人物:せっかちな「システム1」とのんびりな「システム2」
本書では、人間の意思決定には2つの大きな特徴があり、その2つをシステムとして解説しています。どんなシステムなのかを見ていく前にまずは、下の問題に答えてみてください!
引用内)バットとボールは合わせて1ドル10セントです。バットはボールより1ドル高いです。ではボールはいくらでしょう?

10セントだ!とひらめいた方、残念ながら間違いです。
なんとなく直感でいくとそうなるのですが、だとすれば1ドル高いバットは1ドル10セントで合計1ドル20セントになるからです。正しい答えは5セントになります。
どうしてこんな簡単な問題を間違えてしまうのでしょうか?その原因となった2つのシステムについて見ていきましょう!
ファストなシステム1

システム1とは、簡単に言えば直感のことです。直感的、感情的、自動操縦といった特徴があり、経験豊富なキャプテンだが、早とちりで騙されやすいとも表現されています。
先程のバットとボールの問題もほとんどの人が瞬時に答えを出したはずです。そしてほとんどの人が間違えてしまったのではないでしょうか?
これはみなさんのシステム1が働き、答えを出した結果だと言えます。
ここでは紹介しきれませんが、システム1には、「見たものが全てだと錯覚し、そこから答えを導き出してしまう」特徴や「書いてある内容は同じでも、文章の書き方によって受ける印象が変わる」など、決して合理的とは言えない特徴があります。システム1は速い決定が可能ですが、かなり錯覚しやすいというキャラクターです。
スローなシステム2

先程のシステム1とは違い、システム2は論理的、理性的で、注意深く冷静です。システム1の察作を監視する役割も持ちます。
しかし、このシステム2は非常に怠け者で疲れやすいという特徴があります。常にエンジン全開で待機しているのではなく、むしろ常に低い出力の状態でスタンバイしています。
システム2には、システム1のような錯覚を起こす特徴はありませんが、怠け者であるため、システム1の錯覚を見逃してしまうことも多々あります。先程のバットとボールの問題も、システム1が出した答えをシステム2が厳しくチェックしなかったから間違えてしまった、と言えるでしょう。
どちらが良い・悪いではない
「錯覚を起こすなら、システム1なんていらないじゃないか!」と思った方もいると思います。

しかしそうではないんです。日常生活のほとんどは、省エネなシステム1のおかげでスムーズに進んでいるのです。簡単な問題をいちいちしっかり考え答えを出していたら、疲れ切ってしまいます。問題は、システム2が働くべき重要な場面で、システム1が暴走してしまうことなのです。
著者はシステム1による錯覚をなくすことは中々難しいと本書の中で述べています。しかし、どんなときに錯覚が起こりやすいのか、システム1にはどんな特徴があるのかを知ることで減らすことはできるかもしれないとも述べています。

本書の中では様々なシステム1の錯覚について、多くの研究を引用し、科学的な視点から展開されています。これまでの生活で経験したことがある錯覚がなぜ起きたのかが分かり、非常に面白かったです!
『ファスト&スロー』が示す人生のPolaris(道しるべ)

日常生活にある、『ファスト&スロー』の内容を僕なりに解説していきます!
【計画の誤謬】「このレポート、3日で終わるっしょ!」が永遠に終わらないワケ

レポートの締め切り前日や夏休み最終日、山積みになった課題を前に「なんで計画通りに進まないんだ…」と絶望する。着手する前は「3日もあれば余裕」と楽観的に考えていたはずなのに…。こんな経験は誰にでもあるはずです。
このように完了までの時間を楽観的に見積もってしまうのが「計画の誤謬」です。直感的なシステム1が「すぐ終わる」と判断し、予期せぬトラブルや自分の集中力の限界をシステム2が考慮しないために起こります。
錯覚を減らすには…
タスクを細分化する:「レポート作成」ではなく「資料集め(3時間)」「構成案作成(1時間)」「本文執筆(5時間)」のように、具体的な作業に分解して時間を再見積もりすると◎!
【フレーミング効果】「お肉25%増量」と「お値段20%OFF」、どっちがお得?

同じ内容でも「100人中90人が成功!」と言われると魅力的に感じますが、「10%の人が失敗」と言われると不安になる人もいるのではないでしょうか?内容自体は同じなのに、伝え方次第で印象がガラッと変わる減少を「フレーミング効果」といいます。
システム1が物事の本質ではなく、それがどう表現されているか(フレーム)によって、感情的な判断を下してしまう。
錯覚を減らすには…
表現を置き換える:例えば「脂肪分1%」なら「脂肪以外の成分が99%」、「90%が成功」なら「10%が失敗」というように、自分で意図的にフレームを裏返して考えてみると錯覚を減らせますね!
思考のクセを知り、人生のハンドルを握り直そう

『ファスト&スロー』から得られた学びについて再確認しましょう!
・私たちは自分の意思で合理的に判断していると思いがちだが、実際は多くの「バイアス(偏り)」の影響を受けている。
・この本は、自分の思考の「取扱説明書」。自分の弱点を知り、システム1とシステム2を賢く使い分けることで、より良い人生を歩むことができる。
『ファスト&スロー』は、何かを決断する際に立ち返るべき「思考の道しるべ」です。自分の判断を客観視する視点を与えてくれる一生モノの知識になると思います!
本書では、システム1の錯覚についてさらに深く・広く紹介しています。この記事を読んで「もっと知りたい!」と感じた方はぜひ実際に手にとって読んでみてください!
『ファスト&スロー』を今すぐお得に読む方法
正直、この記事で紹介した本を「積ん読」で終わらせたら、人生で少し損をしてしまうレベルで、得られるものが多い一冊です。
「そうは言っても、なかなか時間が…」というあなたのために、僕自身も実践している読書スタイルを2つ紹介します。
「聴く」派の僕のおすすめは、やっぱりAudible
僕も大学への通学時間は、ほぼAudibleです。最初は「聴くだけで頭に入るの?」と半信半疑でしたが、これが驚くほど集中できる。何より「インプットしてる時間」が圧倒的に増えるのが最高です。
- 移動時間が「読書時間」に変わる魔法
- プロのナレーターだから、難しい話も分かりやすい
- 最初の1冊は無料。合わなければ解約も簡単
「読む」派の君には、絶対にKindleが便利
もちろん、本は線を引きながらじっくり読みたい時もありますよね。そんな時はKindle一択。特に大学生にとっては、ただ読むだけじゃないメリットが大きいです。
- スマホさえあれば、いつでもどこでも書斎になる
- レポート作成に便利な「検索機能」が神
- 物理的な本棚を圧迫しないのも地味に嬉しい
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